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ゴールデンタイム 感想&作品データ

ゴールデンタイム

「ゴールデンタイム」は、2010年9月に電撃文庫から刊行された、

竹宮ゆゆこ」によるライトノベル作品。イラストは「駒都えーじ」が担当。

人気作品の『わたしたちの田村くん』、『とらドラ!』に続く、

「竹宮ゆゆこ」の3作目ライトノベル作品。


私立大学の新入生である主人公「多田万里」とその周りの人物が織り成す、

大学を舞台とした恋愛ラブコメディ作品。

万里は、高校の卒業式の少し後に橋から落下した事故の影響で、

高校卒業以前の記憶を失っている。

また、事故時に万里の肉体から抜け出した、

高校卒業以前の記憶を持つ「霊魂としての多田万里」も登場し、

作中には彼の視点から書かれている部分があるのが特長的。

(出典:ウィキペディア)

ゴールデンタイム〈1〉春にしてブラックアウト (電撃文庫)



■ ゴールデンタイムの感想(出典:Amazon)


個人的にはラブコメや青春ものを書かせたら

一番だと思っている、竹宮先生の待望の新作です!

他の方々も触れていますが、

この本はラノベの世界では珍しい、大学が舞台になっている小説です。

上京した主人公に熱いサークル勧誘、

ひんぱんな飲み会と大学の空気そのままで、

90年代の青春ものっぽい雰囲気が随所に香り、

そこが気に入りました。

内容は「田村くん」や「とらドラ!」などの学園物と比べると、

はっちゃけた感じが薄くなり、

暗く・重い印象をときどき受けますが、そこは竹宮先生。

N○NAや和○アキ子のパロディなど、

随所にユーモアが混ざって、くすりと笑える部分が色々あります。

また、竹宮先生の魅力の一つである丁寧な感情表現もご健在で、

ヒロインの香子をはじめとする登場人物たちの生の気持ちが、

読んでいて次々とぶつかって来る印象を受けます。

高校生から少しだけ大人になった大学生の話。

馬鹿だらけの高校生活とは少し違う大学生活な話を、

普段とは違う新鮮な気持ちで読んでみるのはいかがでしょうか。




多くの方が言われている通り、

やや前シリーズよりも対象年齢が上がっているような気がします。

ですがそれは、主人公たちが大学生という大人で、

教室でバカ騒ぎするような描写が無いからというだけであり、

著者の筆力とかテーマとか繊細な心理描写とか

アホらしい掛け合いとかコアなパロディーネタが

中高生に理解しがたいものになっているというわけではないと思います。

コメディ要素は健在でいちいち面白いですし、

それでいて心理描写の巧みさは更に磨きが掛かっていて、

山場ではぐいぐい引き込まれます。




ライトノベルのラブコメといえば、

強烈なキャラクターを第一に持ってきて、

そのキャラクターたちによってワイワイする、

というのが定番だと思います。

しかし私は、何作も読んでいると時たま

少し落ち着いた作品も読みたくなります。

ちょっと大人な恋愛・環境・考え方、

でも現実にはあり得ない設定を含んだ、そんなライトノベルを。

そういう意味ではこの作品は非常に良いです。

元々竹宮さんはかなり落ち着いた文章を書くとも思ってましたし、

心理描写に関しては文句なし、

更に大学生という設定もそれに拍車をかけていて、

雰囲気が出てるなあと思いました。

特に良かったのは心理描写。

登場人物の多くはキャラ押しではないのですが、

ヒロインは痛い所も含めて、一番ライトノベルにいそうなキャラ。

本来なら浮いてしまうところを

作者の細かい心理描写で溶け込ませてるのは、

素直に凄いと思いました。




前作のとらドラ!をとても楽しく読ませて頂いたので、

今回のゴールデンタイムもとても楽しみにしていました。

期待通りの出来で一気に物語に引き込まれました。

ライトノベルというレーベルであれば、

美少女が追いかけてくる、というのはドタバタラブコメや

ハーレム設定のような都合のいい設定に

使われる事が多い傾向にあると思います。

しかし、そこは竹宮先生。そう単純に事は運びません。

前作のとらドラ!もそうでしたが、

今作も人が持つ弱さや痛み、葛藤や惹かれあっていく心情

というのを上手く表現していると思いました。

他の方が仰るとおり、ライトノベルの主な対象年齢である

中高生に受ける話とは少しずれていると思いました。

しかし、小気味良いテンポやパロディネタなど

いい意味でのライトノベルらしさというのもしっかりある作品だと思います。

一般小説的な面白さとライトノベルらしさを兼ね備えた、

電撃文庫の可能性を広げる意欲作であると感じました。

彼ら彼女らの気持ちの行方、林田と万里の関係、

昔の万里と今の万里がどう交錯するのか。

物語の本筋と複線がどのように絡みあい、どのように動いていくのか。

久しぶりにワクワクさせて貰いました。