ライトノベル感想 > 文学少女の感想




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文学少女 感想&作品データ

文学少女」(Book Girl)

「文学少女」は、2006年4月28日にファミ通文庫から刊行された、

「“文学少女”と死にたがりの道化【ピエロ】」から始まる、

野村美月」によるミステリーラブコメ ライトノベル作品シリーズ。

イラストは「竹岡美穂」が担当。

ライトノベルアワード2007 ミステリー部門」受賞作品。

このライトノベルがすごい!」2007年度8位、2008年度3位、

2009年度1位、2010年度3位を記録。


普通の男子高生の主人公「井上心葉」は過去に大きなトラウマを抱え、

モットーさえ「君子危うきに近寄らず」。そんな彼がひょんな事から、

生粋の文学少女である天野遠子の秘密を知ってしまう。

秘密を知ってしまった事で彼は遠子が部長を務める文芸部に

強制的に入部させられ、毎日毎日三題噺を書かされることとなってしまった。

天真爛漫で無邪気な遠子に振り回され、

「これは事件よ!」の台詞に頭を抱えながらも遠子が首を突っ込んだ、

さまざまな事件を解決に導く手助けをしていく。

その中で関わりを持った竹田千愛、芥川一詩、櫻井流人、姫倉麻貴、

琴吹ななせなどに少しずつ心を開き、

やがてトラウマの元となった、ある少女と再会を果たす。

そして彼の物語が読み解かれ過去から解放されたとき、

彼は遠子を裏切り遠子もまた彼を裏切る。

千愛、一詩、流人、麻貴、ななせ、そして心葉……。

あたたかく、甘く、優しい文学少女の手によってすべての物語が読み解かれ終えたとき。

読み手であった文学少女・天野遠子の物語が綴られる。

彼女の物語を読み解いていくにつれ心葉達の運命もまた、

少しずつ動き出すのであった……。

(出典:ウィキペディア)

“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)



タイトル<長編(本編)> 発売日
1 “文学少女”と死にたがりの道化【ピエロ】 2006年4月28日
2 “文学少女”と飢え渇く幽霊【ゴースト】 20006年8月30日
3 “文学少女”と繋がれた愚者【フール】 2006年12月25日
4 “文学少女”と穢名の天使【アンジュ】 2007年4月28日
5 “文学少女”と慟哭の巡礼者【パルミエーレ】 2007年8月30日
6 “文学少女”と月花を孕(だ)く水妖【ウンディーネ】 2007年12月25日
7 “文学少女”と神に臨む作家【ロマンシエ】上 2008年4月28日
8 “文学少女”と神に臨む作家【ロマンシエ】下 2008年8月30日

タイトル<短編集> 発売日
1 “文学少女”と恋する挿話集【エピソード】1 2008年12月26日
2 “文学少女”と恋する挿話集【エピソード】2 2009年8月29日
3 “文学少女”と恋する挿話集【エピソード】3 2010年4月30日

タイトル<外伝> 発売日
1 “文学少女”見習いの、初戀【はつこい】。 2009年4月30日
2 “文学少女”見習いの、傷心【しょうしん】。 2009年12月26日
3 “文学少女”見習いの、卒業【そつぎょう】。 2010年8月30日

※ちなみに、作者は外伝も含めてこのシリーズを
刊行された順番で読んでいくことを強く推奨している。



■ 文学少女の感想(出典:Amazon)


“文学少女”というフレーズと美麗なカバーイラスト

に食指が動いた人なら読んで損はありません。

主要登場人物は二人。

物語を愛しすぎて、つい食べてしまうということ以外は

ごく普通の女子高生(?)である文芸部所属の“文学少女”天野遠子。

そして遠子の後輩で、一見、人畜無害を絵に描いたような人物ではあるものの、

実は昔、天才美少女作家であったりと、訳ありな過去を持つ井上心葉(♂)です。

本作では心葉を語り手に“文学少女”が推理ならぬ

「想像」で事件を解決する様が描かれています。

さて、今回“文学少女”の前に現れるのは“死にたがりの道化”。

そう、「生れて、すみません」のあの人に魅入られた人々です。

自己を持て余し、他者との距離感に悩む彼らの潔癖さを、いかに

“文学少女”が読み解き救っていくのか、是非読んでみてください。

私自身の読後の感想は、うまくまとめすぎて、

やや理に落ちるな、というもの。

しかし、逆に言えばそれだけ著者が物語全体を把握し、

隙なく構成しているということであり、完成度は高いです。

脇を固めるキャラクターには、所謂「萌え」系もいますが、

女性作家ということもあり、あまり下品になっていません。

今風の、変にとんがったキャラ付けがされてないのも、

個人的にポイントが高いです。

遠子を溺愛する理事長の孫・姫倉麻貴や、心葉に好意を抱いているのに、

素直に接することができない琴吹ななせなど、今後の活躍が待たれます。

とにかく、読書という行為に少しでも思い入れ

のある人には手にとってもらいたい一冊です。




かつて「謎の美少女作家」だった井上心葉(このは・♂)と、

文芸部の先輩であり自称「本を食べちゃうくらい

すべての物語を深く愛してやまない“文学少女”」の

天野遠子をメインに展開していく物語です。

ひとつの文学作品を物語の中心に据え、

それをなぞるかのように様々に展開していく物語に

引き込まれてしまいます。

また、変にキャラクター性を意識させない自然体な登場人物や、

普段の会話をそのまま書き記したような心葉と遠子のやり取りも、

この作品の大きな魅力です。

お題目である文学作品、登場人物の心の動き、機微を効果的に表現しています。

この辺りの上手さは著者さんの腕によるものでしょうか。

従来の多くのライトノベルのように

「甘さ(愛、友情といったもの)」を全面に押し出した作品ではありません。

物語り全体に「苦味(悔恨や苦悩)」や「辛味(対立や軋轢)、

「酸味(秘密・内面的な黒い部分という意味で)」が散りばめられています。

それ故に日常描写という淡白な部分や

端々の「甘さ」が引き立てられている作品です。

音楽において、古典である「クラシック」があり、

それを噛み砕いて大衆的にした「イージーリスニング」があります

(正式な区分けではなく、概念的なものの例として)。

この作品は「ライトノベル」という範疇に収めるのではなく、

言わば純文学作品(クラシック)を噛み砕き咀嚼し、

飲み込んで理解し再構築して作られた、

純文学作品とライトノベルの中間の橋渡し的な作品、

例えて言うなら「準文学」(イージーリスニング)と

言い表せるような位置付けだと思っています。

これを機に、興味を持った文学作品を読んでみるのも良いですね。




このライトノベルがすごい!2009年第1位の作品ということで読んでみました。

当初メイン登場人物2人の設定が突飛なので

学園ファンタジーものかと思っていたら、

ところがどっこい人間の苦悩を描いた王道ミステリー作品でした。

過去の文学作品をテーマにしつつも、

人間の弱さ、苦悩、そして希望が描かれた本書は一読の価値が有ります。




自称文学少女の天野遠子と

元覆面美少女作家の井上心葉を中心とした

人間の心の闇を映し出すかなりビターな物語です

安易に暗いだけじゃなくコメディ部分は和めるものとなっています

だからこそ平凡な日常と相反するように

心に闇を抱える登場人物達に共感を覚えずにはいられない物語です

読後は何ともやるせない痛みと切なさを伴いながら

温もりと優しさで胸が一杯になります

第一作目から後の物語に向けて巧妙な伏線が張り巡らせてあるので

刊行順に読むのが必須になる作品です




客観的に見れば、星3つか4つくらいです。

しかし私個人としてはすごく面白く感じたので、星5つです。

ストーリーは最初コメディっぽい感じですが、

後半にかけてシリアス度が高くなっていきます。

謎が何段階も重なって、ぐいぐい惹き込まれます。

(ただし人によっては展開が見え見えかもしれません)

作中では登場人物が長い台詞を一気に喋る場面が多くあります。

その中の数カ所では、テンポをもう少し調整したほうがいいように感じました。

しかし基本的にはテンポも良いし丁寧に書かれた文章だと思います。

個人的なオススメは、クライマックスあたりの遠子先輩の説得シーンです。

(人によって感じ方が大きく変わり、

私とは逆にしらけてしまう可能性があるでしょうが)

――それは現実世界を文学世界で例えた解説。

――それはとても正しく世界を表現した解説。

――それはとてもとても馬鹿馬鹿しい説得。

――そしてそれでこそ“文学少女”が本当に真剣に行ったといえる説得。

私はその説得に対し、掛け値無しの賛辞を送りたいです。

変人にしか納得できない、変人の全身全霊に。

そのシーンを読んで私は、本当に心踊りました。

後いくつかポイントを挙げますと、

挿絵がキレイ系、遠子先輩が可愛い、心葉の過去とこれからが気になる、

あざといツンデレ娘が報われそうな気がしない、等でしょうか。

人を選ぶ作品だとは思いますが、

一人でも多くの人にこの本を取ってみて欲しいです。



“文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫) “文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫) “文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)